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遺言の基礎知識

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税理士監修あなたの想いを確実に残す遺言の基礎知識のすゝめ

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「遺言(ゆいごん)」と聞くと、「まだ早い」「縁起でもない」と感じる方が多いかもしれません。
しかし、遺言は、ご自身の死期が近づいてから慌てて行うものという誤解があります。
そうではなく、遺言とは、ご自身が元気なうちに、愛する家族のために、万が一のことがあっても残された者が困らないように作成しておくべきものなのです。
遺言は、あなたが生涯をかけて築き、守ってきた大切な財産を、最も有効・有意義に活用してもらうために行う、遺言者の最終的な意思表示です。

世の中では、遺言がないために、相続を巡り親族間で争いが起こるケースが後を絶ちません。
今まで仲の良かった家族が、骨肉の争いを起こすことほど、悲しいことはありません。
遺言の主たる目的は、このような悲劇を防止するため、遺言者自らが、自分の残した財産の帰属を決め、相続を巡る争いを防止しようとすることにあるのです。

 

1. 公正証書遺言の作成件数は増加傾向にあります

多くの方がその重要性を理解し、備えを始めています。
日本公証人連合会の統計資料によると、公正証書遺言の作成件数は着実に増加しており、令和5年には12万件に迫る件数になっています。
これは、遺言の必要性が広く認識されてきている証拠と言えるでしょう。



2. 遺言がないと、家族はどうなる?「法定相続」の落とし穴

遺言がない場合、民法が定める「法定相続」に従って遺産を分けることになります。

法定相続では、例えば「子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各2分の1とする。」というように、相続分の割合が定められているだけです(民法900条参照)。

つまり、「誰が」「どの遺産(どの不動産、どの預貯金)」を相続するかを具体的に決めるためには、相続人全員で遺産分割の協議(話し合い)をして決める必要があります。

協議がまとまらないと深刻な争いに

人情として、誰でも少しでも良いものを、余分に取りたいと思うものですから、自主的に協議をまとめるのは容易ではありません。協議がまとまらない場合、最終的には家庭裁判所で調停や審判に移行しますが、争いが深刻化し、解決が困難になる事例が後を絶ちません。

遺言さえあれば、「妻には自宅と○万円、長男にはマンションと□万円…」といったように具体的に決めておけるため、争いを未然に防ぐことができるわけです。

また、法定相続分は一般的な家族関係を想定しているため、個別の家族関係に当てはめると、かえって実質的な公平が図られない場合も少なくありません。例えば、家業を一緒に苦労して支えてきた子と、家計にあまり寄りつかなかった子とで、平等の相続分では不公平が生じることもありえます。

遺言者は、自分の家族関係に最もぴったりするような「相続の仕方」をきちんと決めておくことが、後に残された者にとっての最大の配慮となるのです。


3. 特に遺言が必要とされるケース(7つの重点項目)

遺言は全ての人に必要ですが、特に以下のような事情を抱える方は、遺言の作成を強く検討すべきです。

① 夫婦間に子供がいない場合

この場合、法定相続では配偶者が4分の3、亡くなった方の兄弟姉妹が4分の1を相続することになります。
長年連れ添った妻に全財産を遺したいのであれば、遺言が絶対に必要なのです。
兄弟姉妹には遺留分(最低限保証される相続分)がないため、遺言さえあれば全財産を配偶者に残せます。

② 事業用財産がある場合

事業や農業の財産を複数の相続人に分割してしまうと、事業の継続が困難になります。事業を特定の者に承継させたい場合は、遺言で明確に定めておく必要があります。

③ 長男の嫁など、相続人ではない人に財産を分けてやりたい場合

長男の嫁は法定相続人ではありません。長男死亡後に親の世話をしてくれた嫁に財産を残したい場合、遺言で「遺贈する」と定めなければ、お嫁さんは何も受け取れません。

④ 内縁の妻がいる場合

婚姻届を出していない内縁の妻には相続権がありません。長年連れ添った内縁の妻に財産を残すには、必ず遺言が必要です。 

⑤ 再婚し、先妻の子と後妻がいる場合

先妻の子と後妻の間では、感情的になりやすく、遺産争いが起こる確率が非常に高いため、争いの発生を防ぐためにも遺言は特に強い必要性があります。

⑥ 相続人が全くいない場合

相続人がいない場合、遺産は特別な事情がない限り国庫(国)に帰属します。特別世話になった人に遺贈したい場合や、お寺、社会福祉団体、研究機関などに寄付したい場合(寄付したい財産を「遺贈」する)には、その旨の遺言が必要です。

⑦ その他、特に配慮が必要な場合

✓ 身体障害のある子に多くあげたい。

✓ 親孝行の子に多く相続させたい。

✓ 可愛くてたまらない孫に遺贈したい。

 
不動産は皆で分けることが困難な場合が多いので、誰に相続させるか決めておくとよいでしょう。



4. 障害を持つ子のための「負担付遺贈」

年老いた親御様にとって、障害を持つ子の将来の面倒を見てくれるかどうかが最大の心配事の一つです。

「負担付遺贈(ふたんつきいぞう)」とは、財産を遺贈する代わりに、受遺者(財産を受け取る人)に一定の負担(義務)を課す遺言です(民法1002条)。
例えば、「子の面倒を最期まで見ること」を条件に、財産を第三者や機関に遺贈することができます。

この遺言をする際は、負担の内容を明確にし、受遺者となる人や機関と事前に十分話し合っておくことが非常に重要です。
万が一、受遺者が義務を履行しない場合、相続人は家庭裁判所に遺言の取消しを請求できます(民法1027条)。



5. 遺言の3つの種類と方式

遺言は、遺言者の真意を確実に実現させるために、厳格な方式が定められており、その方式に従わない遺言はすべて無効です。
口約束やビデオメッセージでは法律上の効力はありません。

遺言の方式には、「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3つがあります。

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6. 最も確実な方法!公正証書遺言のメリット詳解

公正証書遺言は、3つの方式の中で、最も安全確実な遺言方法であるといえます。

① 方式の不備で無効になる心配が一切ない

公証人は、長年、裁判官、検察官等の法律実務に携わってきた法律の専門家であり、正確な法律知識と豊富な経験を持っています。複雑な内容でも法的に整理した文章にまとめますので、方式の不備で遺言が無効になるおそれは全くありません。

② 検認手続きが不要で、すぐに実現できる

自筆証書遺言や秘密証書遺言と異なり、公正証書遺言は、家庭裁判所での「検認の手続」を経る必要がありません。そのため、相続開始後、速やかに遺言の内容を実現することができます。

③ 紛失・改ざんの心配がない

遺言書の原本が必ず公証役場に保管されます。破棄されたり、隠匿や改ざんをされたりする心配が全くありません。

④ 自筆が困難な方も作成できる

体力が弱ったり、病気などで自書が困難になった場合でも、公証人に依頼すれば遺言を作成できます。署名さえできなくなった場合でも、公証人が遺言者の署名を代行できることが法律で認められています。

⑤ 自宅や病院への出張も可能

遺言者が高齢や病気等のため、公証役場に出向くことが困難な場合は、公証人が遺言者の自宅や病院等へ出張して作成することもできます。




7. 遺言はいつでも「撤回」(取消し)や訂正ができます

遺言は、人の最終意思を保護する制度であり、作成後に心境や家族関係、財産の内容が変わることは自然なことです。

遺言は、遺言作成後の諸状況の変化に応じて、いつでも、自由に、訂正や、取消し(法律上は「撤回」といいます)を何回でも行うことができます。ただし、訂正や撤回も、遺言の方式に従って適正に行われなければなりません。




8. 相続人が先に亡くなった場合の対処法

「財産を妻に相続させる」という遺言を作成しても、もし妻が遺言者より先に死亡した場合(同時に死亡した場合も含む)、その遺言の当該部分は失効してしまいます。

このような心配がある場合は、遺言の中で**「予備的遺言(よびてきゆいごん)」**をしておくと安心です。

【例】 「もし、妻が遺言者の死亡以前に死亡したときは、その財産を、○○に相続させる。」と決めておけばよいわけです。

 


9. 遺言書が作られているか調べる方法

平成元年(東京都内は昭和56年)以降に作成された公正証書遺言であれば、日本公証人連合会が全国的にデータを管理しているため、すぐに調べることができます。

調査できるのは、相続人など利害関係人のみです。お近くの公証役場に、亡くなった方の戸籍謄本(死亡の事実と利害関係が証明できるもの)と、ご自身の身分証明書(運転免許証など)を持参してご相談ください。



10. 公正証書遺言の準備と費用

公正証書遺言の作成には、以下の準備と手数料が必要になります。

① 作成に必要な主な資料

公正証書遺言の作成を公証人に依頼する場合、打ち合わせをスムーズに進めるために、最低限下記の資料を準備しておきましょう。

  • 遺言者本人の印鑑登録証明書
  • 遺言者と相続人との続柄が分かる戸籍謄本
  • 財産を相続人以外に遺贈する場合は、その人の住民票


財産に不動産がある場合は、登記事項証明書(登記簿謄本)と、固定資産評価証明書または固定資産税納税通知書中の課税明細書。
証人(二人必要)を用意する場合は、証人予定者のお名前、住所、生年月日、職業をメモしたもの。 

② 作成費用(手数料)の目安

公正証書遺言の作成費用は、手数料令という政令で法定されています。手数料は、遺言の目的となる財産の価額に応じて計算されます。
基本的な手数料は以下の基準で定められています。

 

【具体的な計算方法の留意点】
人ごとの計算:財産を相続または遺贈を受ける人ごとに財産の価額を算出し、上記表に当てはめた手数料を算出し、それらを合算して遺言書全体の手数料を算出します。


遺言加算

全体の財産が1億円未満の場合、上記で算出した手数料額に1万3000円が加算されます。


用紙代

作成に必要な用紙代(原本については3枚を超える分)として、1枚300円の割合の費用がかかります。


出張の場合

遺言者が公証役場に行けない場合(病院や自宅等で作成)は、上記の手数料が50%加算されるほか、公証人の日当と交通費がかかります。


詳細は、それぞれの公証役場でご確認ください。



11. 知っておきたい遺言制度の最新動向:公正証書の電子化

遺言制度は、時代に合わせて進化しています。特に2024年以降、公正証書の電子化に向けた取り組みが進められていることは、遺言を検討されている方にとって重要な情報です。

公正証書等電子化制度の概要

これまで、公正証書遺言の「原本」は公証役場により紙媒体で厳重に保管され、相続人には「正本」や「謄本」が交付されてきました。

今後導入が進められる「公正証書等電子化制度」により、紙で作成された公正証書の内容を電子情報として公証役場が管理し、相続人等はオンラインで遺言に関する情報を確認できるようになる見込みです。

✓電子化のメリット


利便性の向上

相続手続きに必要な公文書(遺言公正証書)の情報の取得や利用が、オンラインで容易になることが期待されます。


手続きの迅速化

遺言の有無の確認や、相続手続きに必要な情報の提供がスムーズになり、相続手続き全体の迅速化に繋がります。


安全性はそのまま

公正証書遺言の最大のメリットである「原本の安全性」は公証役場が維持しつつ、デジタル技術による利便性が加わる形となります。


これは、公正証書遺言の「安全確実な方法」という特徴を、デジタル時代に合わせてさらに強化する動きといえます。最新の情報は、公証役場や日本公証人連合会の公式サイトなどで確認することをお勧めします。



遺言は「備え」であり「思いやり」

遺言は、満15歳以上になれば、判断能力があるうちはいつでもできます。判断能力がなくなってしまってからでは、もう遺言はできません。

遺言は、死が近づいてから行うものではなく、元気なうちに、愛する家族のための「備え」として、これをしておくべきものなのです。
後の家族の悲しみを防ぐための、残される家族に対する最大の思いやりであると理解し、作成を検討されることを強くお勧めします。

遺言書の作成手順についてご質問したい方や詳しく聞きたい方は、お気軽にミカタグループまでお問い合わせください。

 

 

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